砂漠の夜の幻想奇談


優しい手つきで自身の腹を撫でる。

「ま、待ちなさい。腹の子が女児であった場合はどうするのです」

「姫が生まれたら、その姫が生んだ子に継承権第一位を受け継がせる。それまでは俺が王であり続けよう」

どちらにせよ、継承権第一位は揺るがない。

ゾバイダ王太后にとってこれは甘い誘惑だ。

だが、ただ甘いだけではないと察しの良い彼女は気づく。

「ノーズハトゥの子を己の養子にする、ということか…」

つまりは、人質。

気づいたであろう王太后にカシェルダは笑みを深める。

「誰かがシャールカーンの子供を殺そうとしたら、うっかり俺がカンマカーンの子供を殺すかもな」

「貴様っ!!」

怒りを露わにゾバイダが肩を震わせれば、カシェルダは呆れたように溜息をついた。

「馬鹿な考えを起こさなければいい話だ。そうすれば皆が平安のもとに暮らせる」