砂漠の夜の幻想奇談


「あ…兄、上…?」

王位などクソ食らえ、と言っていた彼が何故。

シャールカーンが尋ねる前にカシェルダは素早く理由を口にした。

「俺が王になって、見苦しい王位争奪戦を終わらせる」

「如何様にして終わらせるのです?何か善い策でもおありで?」

挑発的な眼差しでゾバイダ王太后がカシェルダを見遣る。

すると、彼は不敵に王太后を見返した。

「俺が王になったらノーズハトゥザマーンを娶る」

「なっ…!」

この発言には全員が目を丸くしたが、特に名前を言われた本人は思わず声を上げる程であった。

「そして、彼女の腹の子を王位継承権第一位にする」

「腹の子…?ノーズハトゥ、妊娠しているのかい!?」

シャールカーンに問われ、ノーズハトゥは恥じらいつつも頷いた。

「カンマカーン王子の…忘れ形見です」