砂漠の夜の幻想奇談



 午前中の処刑、昼の礼拝。

それからすぐ、王の召集がかかった。

急な呼び出しに王太后とノーズハトゥは首を傾げる。

サフィーアも同じ気持ちで玉座の隣に腰を下ろした。


(話って…何かしら?)


カシェルダ――ダウールマカーンの指示だと聞かされていたサフィーアは、謁見の間の中央に立つ彼をジッと見つめる。

すると、全員揃ったのを確認したカシェルダが玉座に座るシャールカーンへ向き直った。

「話を始めたい。ここにいる全員に関係する話だ」

シャールカーン、サフィーア、ゾバイダ、ノーズハトゥ。

それぞれがゴクリと唾を呑む。


「シャールカーン、まずお前に頼みがある」

「何でしょう、ダウール兄上」


決意を秘めたカシェルダの青い瞳が、視線を逸らすことなく王を見据える。

そして――。


「俺に王位を譲ってくれ」