砂漠の夜の幻想奇談



 数日後、憔悴しきったアフマードと不気味な笑顔を絶やさないダリラは刑場に引っ立てられて最期を迎えた。

同日、ブドゥール王太后と彼女の甥がバグダードからエジプトの方へ追放され、ようやく一件落着。

王宮内にてシャールカーンが安堵の溜息を漏らす。


「シャール」

そこへ重々しい雰囲気を纏ったカシェルダがやって来た。

「兄上?どうなさいましたか?」

「重要な話がある。今から謁見の間に人を集めてくれ」

「人?誰を呼びますか?」

「サフィーア姫とゾバイダ王太后。それから、ノーズハトゥザマーンだ」

ノーズハトゥの名前が出て、シャールカーンの目が軽く見開かれる。

一体、何の話だろうか。

疑問に思いつつも「仰せに従います」と言えば、カシェルダが痛みを我慢するように顔をしかめた。

「すまない、シャール。だが俺は……お前とサフィーア姫の幸せを、願ってるんだ…」

「え…?兄、上…?」


突然の言葉に驚くシャールカーン。

そんな弟にわざと背中を向けて、急ぎ足でカシェルダはその場を離れた。