「ひ孫が男の子なら今度こそ王に!そんな夢を見ながら私は死ねる…。くくっ、くくく…なんて幸せなことか」
天井を見上げながら恍惚とした笑みを浮かべるダリラ。
カシェルダは悔しげに歯ぎしりした。
「……また、繰り返すというのか…。王家に平安は訪れないのか…?」
ひ孫が男子なら、確実にゾバイダ王太后がシャールカーンとサフィーアの子供を殺そうと狙ってくるだろう。
(俺は、どうすればいいんだ…?)
何が一番最善か。
誰も死なず、争わず、生きられる道は――。
「……ふっ、はは…」
力無く、カシェルダは笑った。
自嘲めいた、悲しい微笑。
それを納めた後、彼は冷たい瞳でダリラを見下ろした。
「そんなに欲しいなら、王位なんざくれてやる。喜べ。いずれ貴様の血筋が王となるぞ」
それだけ言って、踵を返す。
地下牢から出る前にカシェルダは小さな声で呟いた。
「そこまで貪欲に権力を欲しがる貴様らは、憐れだな…」



