ようは、生き残って姉に預けた娘が、今のゾバイダ王太后なのだろう。
「王太后は知っているのか?自分の出自を」
「知りゃあしませんよ。ですから私のことも簡単に切れるわけです。ですがそれでいい。あの子とひ孫が無事であるためなら、私の命くらいくれてやりますよ」
「ひ孫…?」
「おや、まだお耳に入っておられない?ノーズハトゥ様はカンマカーン王子の御子を身籠もっておられるのですよっ!ひっひっひ」
ダマスからバグダードまでノーズハトゥと共に移動してきたカシェルダだったが、バキータのことばかり気にしていて彼女の妊娠には全く気づかなかった。
今初めて知った事実に、ゾクリとする。
背筋を何かが這うような、気持ち悪い感覚。
「貴様……正気か?自分の娘とオマル王が一緒になって生まれたのがカンマカーンだぞ?異母兄妹での婚姻は認められていないというのに……ひ孫まで…」
知らず、タブーを犯した王家。
カンマカーンの血筋は呪われた系譜となるだろう。



