砂漠の夜の幻想奇談


言うが早いか、ソティリオは腰に下げていた剣を抜いた。

十四年分の恨み、妬みをこめてサフィーアに切り掛かる。

「きゃああっ!!」

「姫っ!!」

カシェルダが短剣で相手の切っ先を薙ぎ払おうとした時。

彼よりも先に別の兄が動いた。


ガキンッ!!と音がして死への一振りが止められる。


「ソティリオ、君が母上や妹を憎む気持ちは理解できます。けれど、彼女を殺したところで何も事態は解決しませんよ」

剣と剣がぶつかり合い、ガチガチと刃が鳴る。

兄弟の中でも一番端麗な顔立ちをした兄が守ってくれた。


「さすがディノス兄さん!カッコイイ~!」

コスティが無邪気に手を叩く。

「コスティ、君はさっさとサフィーアから降りなさい。俺達の中では末っ子ですが、彼女にとって君は兄なんですよ?」