「うわああっ!!やめろっ!!来るなぁあ!!」
慌てふためき、床に尻餅。
幼少期のダウールマカーンを知る者達は、この滑稽な姿を目撃して訝しげな目つきになった。
「来るな!来るなぁ!!」
バキータが飛び掛かる前にカシェルダが鎖を引っ張り制御する。
バキータの爪から逃れたというのに腰が抜けて立ち上がれない甥を一瞥すると、ここで初めてブドゥール王太后は口を開いた。
「久しく会っていなかったゆえ、昔のようにいかないのは当然。虎を使った証明など当てになりません」
いつもの彼女と変わらぬ強気な発言にシャールカーンがピクリと眉を上げた時だった。
「カシェルダ…?」
不意に、カカーンが呟いた。
バキータの鎖をしっかりと握り締めている護衛官から目を逸らさずに。



