砂漠の夜の幻想奇談



(第一王子は自分のことをカシェルダと名乗っていたの?ま、まさか……いえ、でもそんな…偶然よね?)


自分の護衛官を思い出して浮かんだ突拍子もない考えを、頭を振ることで否定する。


(いくら何でも、カシェルダがダウールマカーン王子なわけないわよね…)


と、その時。


――ガァァ~ォオ!!!


獣の低い吠え声が響いた。

謁見の間の入口に注目すれば、そこには鎖に繋いだバキータと共に歩くカシェルダの姿が。


「連れて来たぞ」

中央まで来たカシェルダの顔をまじまじと見つめるシャールカーン。

恐ろしいホワイトタイガーなど今は目に入らない。

先程のカカーンの言葉のせいで頭の中が混乱する。


(カシェルダが…兄上…!?その可能性はっ…)