砂漠の夜の幻想奇談


「カカーン?なぜ断言できるんだ?」

「彼を貰い受けたいという人間が我が屋敷にやって来たのです、王様。共に過ごすようになってまだ一年も経たない頃でした。名は確か…カシェルダと」

報告書を書いた人物の名が出てシャールカーンは感心した。

「ほう、よく名前まで覚えていたな」

これで王子を捜索していたカシェルダがカカーンに接触していたことが明らかとなったわけである。

シャールカーンの嬉しげな表情にカカーンも口元を綻ばせ、加えて言った。

「少年と名前が同じでしたから。第一王子はあの時、カシェルダと私に名乗っておりました」


「は……?」


予想外の情報に目を点にする。

シャールカーンだけでなく、サフィーアやバルマキー達側近も目を見開いた。

「今思えば、警戒なされて本名を伏せられたのでしょう。ご自分の護衛官の名前を借りておられたのだと思います」