砂漠の夜の幻想奇談


「そうか。では二人に問おう。お前達が気に入った少年とはこの男か?」

シャールカーンは眼前に立って冷や汗をかいている青年を顎で示した。

青年の顔をまじまじと見てから、サバーとカカーンが大声で宣言する。

「いいえ!アッラーにかけて、この男ではございません!」

「違います!どう見ても彼は別人です!」


「…だとさ。“兄上”」

皮肉をこめて言ってやれば、自称ダウールマカーンは上擦った声で反論し始めた。

「で、デタラメだ!でっちあげだろう!私を陥れるために偽物の報告書など作り上げて…!」

「生憎と、この報告書は本物だ。ここに亡き先王のサインがある。報告書を受け取ったという印のな」

報告書の下部に書かれたオマル王直筆のサインを見せつけてシャールカーンは更に続ける。

「筆跡は鑑定済みだ。間違いなく父上のものだと判定された」