(あら?あの方、どこかで会ったような…?)
カカーンを見てサフィーアは首を傾げる。
(貴族と言っていたし、宴の席とかで見掛けたのかしら?)
ハッキリと思い出せないため、サフィーアはそれ以上考えるのを止めた。
実を言えば、彼と初めて会った場は宴の席ではない。
シャールカーンと出会い、ダマスの屋敷にて羊の毛を刈っていた際、「掃除女」呼ばわりしてきたカカーンの娘に荷物運びの手伝いを命じられ、広間に同行して目にした。
それが二人の初対面だ。
「カカーン、そう硬くなるな。次はお前の話を聞きたい」
「は、はいっ!太守さ…いえっ、王様!サバーの話に、偽りはございませんっ。十二年前、所用でバグダードを訪れていた際、私は彼から一人の少年を買いました。屋敷はダマスにありますので、彼を伴い、私はすぐに屋敷へ帰りました」



