砂漠の夜の幻想奇談


「よくいらっしゃった、兄上。いや…ダウール兄上の名を騙る罪人と呼んだ方が正しいか」

「シャールお前、私を侮辱するつもりか!」

「先にこちらを侮辱したのは貴様だ。紛いものが王になれるとでも?」

「わ、私が偽者だというなら証拠はあるのか?ないだろう?この兄が気に食わないからといって憶測だけで糾弾しようとは、甚だ――」

「証拠ならある」

罪人の挑発的な眼差しを蔑むように睨み、王は言葉を途中で遮った。

「これだ」

傍に置いておいた報告書を手に持ち、見せつける。

「それは?」

「十二年前、第一王子の行方を捜索していた者が残した報告書だ」

「報告、書…?」

「これには、我が兄上はダマスで発見されたと記されている」

「なっ!?」

驚きのあまり彼は自分の庇護者であるブドゥール王太后に視線を向けた。