その時は唐突にやって来た。
待ち時間を使ってガチョウ達との親睦を深めようと試みたサフィーア。
椅子に座って一番小さなガチョウを膝の上に抱っこしていた彼女は、ガチョウ達が急に震え出したことに気がついた。
「どうしたのかしら?」
心配そうにガチョウの瞳を覗き込む。
すると――。
ボンッ!!!!
凄まじい音が響いたかと思うと、ガチョウ達の姿が一瞬で大きくなった。
「きゃ!?」
サフィーアの膝にかかる重さが増す。
「あ…あに、うえ…?」
ガチョウは消え、代わりに膝の上にはサフィーアよりも少し年上の少年が座っていた。
少し癖のある薄茶の髪が印象的な彼。
「君が、僕らの妹…?」
開口一番の質問に、サフィーアは緊張しつつ頷いた。
「初めまして、兄上。サフィーアです」



