砂漠の夜の幻想奇談


「なら戻るのね!?兄上達は人間の姿に戻るのよね!?」

興奮してダハナシュの服を掴むサフィーア。

そんな彼女を愛おしげに見つめ、ダハナシュがアドバイスした。

「この手の魔法に対しては夜を待つのが上策だ。暗くなるまで、ここで時を過ごすといい」

サフィーアは近くの窓から外を眺めた。

太陽の位置を確認し、日没までの時間を予測する。


(うーん…どうしよう…)


日が沈むまで、まだしばらく時間がありそうだ。


(暗くなるまで、か…)


一瞬、両親の心配そうな顔が脳裏に浮かんだ。

しかし…。


(ダメダメ!せっかくここまで来たんだもの。兄上達のお姿を見ずに帰るなんて……ありえないわ!)


サフィーアは日が没するまでの数時間、この塔で待つことを決めた。