長い石の螺旋階段を上へ上へと進む。
所々に炎が点る薄暗い階段が終わり、ようやく塔の最上階へと到着した彼らの前に現れたのは、生活感の漂う部屋だった。
「この部屋は、一体…」
サフィーアは部屋の中をしげしげと観察した。
まず目に飛び込んできたものは、燃える暖炉。
石造りの塔は冷えやすいものだが、この暖炉のおかげで部屋はとても暖かい。
それから、壁際にある十二の寝台。
中央に置かれたテーブルには十二の食器が並び、椅子も十二ある。
「ここはガチョ…いや、王子方の住まいか?」
カシェルダの呟きにダハナシュが頷いた。
「そうだろうな。この部屋から察するに、王子達はずっとガチョウの姿ではいないらしい」



