砂漠の夜の幻想奇談



 帰って来て早々、大変な一日だった。

夜、寝台に腰掛けてフウと溜息。

「溜息ついて、どうした?サフィーア」

同じ寝台で眠るべく、シャールカーンがサフィーアの隣に座る。

「身体はどう?気分は悪くない?」


(おかげさまで、大丈夫よ)


寝台脇の机に置いてあった紙と筆を取り、おしゃべり。


(シャールこそ、大丈夫?)


「ん?俺?大丈夫じゃなさそうに見える?」


(ちょっと……無理してないかなって…)


慕っていた兄との再会。

けどそれは、喜びを分かち合うものではなかった。


「ダウール兄上のことか…」

溜息まじりに言葉を吐いて、ゴロンと寝台に横たわる。


「……俺の記憶の中の兄上は、とても優しくて…頼りになって…俺に物凄く甘かった」

まぶたを閉じて思い出す、幼い日の記憶。

カシェルダの言う通り、少しばかり美化されているかもしれないが。