砂漠の夜の幻想奇談


「十二年前の記録を調べればよろしいのですね?」

「ああ。出生から行方不明になるまでの兄上に関する記録全部だ。本当の兄上のことを知らなければ真偽は確かめられないからね」

「承知致しました」

バルマキーが恭しく頭を下げた時。


「僕もバルマキーを手伝うよ!」


カンマカーンが積極的に手を挙げた。

「手伝うって……カン、お前はダマスに戻った方が…」

「このままダマスに戻ったところで、シャール兄上のことが気になって仕事ができません。もうしばらくバグダードにいます」

キッパリ言ってから部下のルステムに向き直る。

「ルステム、君は先にノーズハトゥ姫のもとへ戻っていて」

「御意っ」


こうしてルステムとカシェルダは共にダマスへ。

トルカシュはバスラへと向かうことになった。