「そうだな。あの男がダウール兄上だという確固たる証拠を突き付けられたわけじゃない。ブドゥール王太后の言葉だけでは残念ながら不十分だ」
シャールカーンは気持ちを切り替えた。
「カシェルダ、バキータを頼む」
「ああ」
たった一瞬だけ、兄の表情で微笑んだカシェルダ。
それに気づくことなく、シャールカーンは他の臣下に次の命令を出す。
「トルカシュ、お前はバスラへ行って来てくれ」
「え?バスラに、ですか?」
「王宮から出て、ずっとバスラにいたらしいからな。ブドゥール王太后の実家、アフマードの家を探ってこい。何かわかるかも知れない」
「はい!」
元気よくトルカシュも立ち上がる。
「それからバルマキー。お前には行方不明になる前の兄上の記録を見直してもらいたい」



