砂漠の夜の幻想奇談


「ガーガー!!」

サフィーアの後方で鳴くような声がした。

「え?何かしら?」

「おや、これはこれは」

ダハナシュの声に驚きが混じる。

サフィーアとカシェルダが同時に振り返った。


「ガー!ガー!!」


正体は、ガチョウの鳴き声。

こちらに向かって砂の上をテクテクとガチョウが歩いてくる。

「ガチョウ?なぜこんな砂漠に?」

カシェルダが首を捻った。

「しかも、一、二、三、四………十二羽も!」

数え終わってサフィーアはふと思い出した。


(そういえばシャールが…)


――ちなみに俺は亡霊の代わりにそこで十二羽のガチョウを見た


(…なんて言っていたわね)


ガチョウと亡霊。

何か繋がりがあるのだろうか。

サフィーアが思案していると、ダハナシュが唐突にとんでもないことを教えてくれた。