砂漠の夜の幻想奇談


「ならばなぜ息子だと確信を持てるのか、是非とも理由をお聞きしたい」

「理由など…!」

ブドゥール王太后は大袈裟に驚いて見せると、ダウールマカーンを胸に抱きしめた。

「母親が大切な息子の顔を見間違えるわけがない!」


王太后は再度繰り返す。


「この子は私のダウールなのだ…!お分かりか!王よっ」


これ以上の反論は受け付けない。

理解したシャールカーンは強い眼差しで中央にいる三人を睨みつけた。

「……百歩譲って、本物のダウール兄上だとしましょう。しかし、俺は兄上を殺そうなどと企んだことは一度もない!!」

「兄の言葉を信じぬのか」

王太后が更に何か言おうとしたが、それをダウールマカーンが制した。

そして自らが口を開く。

「別になかったことにしてもいい。お前が私に王位を譲ってくれるならな」