砂漠の夜の幻想奇談


「兄上…!ありがとうございます…!」

頭を下げるルームザーン。

マリアムも感謝をこめてお辞儀をする。


もう、彼らが結ばれることを反対する者はいない。

幸せを掴んで欲しいと切に願うファルーズであった。


「ルームザーン王子!ちょっといいか?」

唐突にシャールカーンの声がした。

彼はサフィーアを腕に抱きしめながら、叔父であるルームザーンを手招いている。

「ん?なんだ?」

マリアムと共に近寄り、話を聞いてみることに。

「帰りにサフィーアを輿に乗せたいんだよ。だから手配を――」


そこまで言ってから、シャールカーンは顔を強張らせた。

偶然、視界に入った危険人物。

苦しげに呻きながら刃を握り、恨みのこもった眼差しをギラつかせてルームザーンを睨んでいる兄――マルザワーン。