砂漠の夜の幻想奇談


語りながら隣に立つ最愛のマリアムを抱き寄せる。

「そう言わず…考え直してくれ。お願いだ…!」

尚も縋るファルーズに、ルームザーンは励ましの言葉を送った。

「兄上、自信をお持ち下さい。大丈夫。兄上はお優しいですから、きっと民に好かれる王になるでしょう」

「ルームザーン…」


わかっている。

無理に引き留めては弟に迷惑だ。

せっかく再会できたマリアムとの幸せな時間を奪う権利は、自分にはない。

それに、そろそろ弟離れをした方が自分のためにもなるのだ。

いつまでもルームザーンを頼ってはいられない。

弱い兄では、いられない――。


目を閉じて、覚悟を決める。

それから、ファルーズはポンポンと弟の肩を叩いた。


「幸せになりなさい。二人の未来に平安があることを、祈っているよ」