砂漠の夜の幻想奇談


「……ハルドビオス王は…死んだのか…?」

不意に床から声がした。

見れば、力尽きて倒れていたカシェルダが自分を見上げている。

その隣では傷だらけのルステムがバテていた。


シャールカーンはゆっくりと頷く。


「そうか……勝ったな」


「うん…そうだね」


王は詰んだ。

勝ったのだ。


「けれど……なぜかな…。全く、勝った気がしないよ…」




この後、ルームザーンは全ての城門を開け放ち、敵の将アフリドニオス王に降伏した。


城内は騎士団やバグダードの軍に占領されたものの、約束通り市民達の命は守られた。


時刻は夜中であったが、主立った軍の指揮官達が明かりの燈る城の大広間に集まり、ハルドビオス王の遺体を囲んだ。

死者に対しそれぞれで祈りを捧げてから、今後のカイサリアをどうするか話し合う。