砂漠の夜の幻想奇談


血が飛び散った。

自身の身体を貫く、王。

ガクリと膝がつき、口から鮮血が溢れ出る。


「ちっ…父上えぇええ!!!!!!!!」


目の前で自害を選択した父に駆け寄るルームザーン。

ファルーズはあまりのショックにへたりこむ。

シャールカーンはというと、足が竦み、その場から一歩も動けなかった。


「父上ぇえ!!!立って下さい!!自害なんて許しませんよ!!こんな形で死ぬなんてっ…!!父上!!!!」


必死に声をかけるも、半開きの目にはすでに何も映っていないようだった。


「父上ぇえ!!!!!」


ガッシリとした大柄な身体が床に倒れ伏す。

シャールカーンは握っていた剣を取り落とした。


「お祖父、様っ…」


悲しいというよりも、今さっきの光景が信じられず、呆然となる。