マルザワーンと同じく、複数の兵士を引き連れて廊下を堂々と闊歩してきたのはハルドビオス王その人であった。
シャールカーンは初めて会う祖父をまじまじと見つめ、ゴクリと唾を呑む。
蝋燭の明かりに照らされた白髪。
厳めしい顔つきは王のそれであり、軍人のそれでもあった。
攻撃的な眼差しがシャールカーンを視界に捉える。
「ネズミがうろついていると報告があった。貴様か」
問われたシャールカーンは不敵に笑った。
「その通りですよ。私はシャールカーン。お初お目にかかります、お祖父様」
「お祖父様…?」
訝しむハルドビオス王の前でシャールカーンはターバンを頭から取ってみせた。
金色の髪がこぼれ落ち、蝋燭の光を受けて輝く。
「なっ…!」
王の顔が強張った。
ハルドビオス王の脳裏に蘇るのは、遠い昔に離れ離れとなった愛娘の笑顔――。
「ア、アブリザ…!?」
驚きを隠せない祖父を見てシャールカーンは意地悪げに微笑む。
「そんなに私は母上と似ておりますか」



