砂漠の夜の幻想奇談


「役に立つ?どういうこと?」

尋ねると魔神はニヤッと笑った。

「俺は貴女の十二人の兄がどこにいるのか知っている」

「えっ!?」

衝撃だった。

耳にした言葉が信じられず、何度も聞き返す。

「本当!?本当に本当なの!?」

「ああ。本当だ」

「どこなの!?兄上達はどこに!?」

「砂漠にいる。魔神マイムーナが砂漠で飼っているそうだ」

「砂漠…?」


サフィーアはハッとなった。

昨夜、シャールカーンから聞いた砂漠に現れる十二人の亡霊話を思い出す。


「砂漠ってもしかして…ダマスの東の…?」

「そうだな。マイムーナの行動範囲からして、多分そこだろう」


イスラム教徒の国に兄達がいる。

魔神に捕まっている。

サフィーアはゴクリと唾を飲み込んでから言った。