砂漠の夜の幻想奇談


悲しげに俯くマリアム。


「そうか…。弱ったな」

シャールカーンは溜息を吐き出し、その場に胡坐をかいた。

そんな異国の彼をチラリと見て、マリアムはルームザーンを思い出す。

どこと無く、目の前の青年は大好きな恋人に似ていた。


「……私は知りませんが……城から食事を運んでくる侍女が来ます。彼女なら、知っていると思いますが…」

「本当か!?いつ頃その侍女は来る?」

パッと顔を輝かせたシャールカーンに一瞬見惚れてから、マリアムは小さな声で答えた。

「多分、もうじき…」

「なら待たせてもらおうかな」


壁に設置してある台に松明を立て掛け、疲れた身体をほぐすように伸びをする。

ルステムも松明を置くと、通路を警戒しつつ地面に座り込んだ。