「誰かいるのか!?」
今まで、通ってきた道に明かりはなかった。
暗い洞窟内で頼りになるのは自分達が持つ松明だけだったはずだが…。
「王様…どうしますか?」
行ってみるか、引き返すか。
ルステムが声を低めて指示を待つ。
「………行ってみるか」
シャールカーンはゴクリと生唾を呑んだ。
話し声は聞こえないが、誰かいることはほぼ確実だろう。
慎重に、慎重に。
警戒しつつ歩を進め、二人は明かりの燈った広い居住スペースに出た。
「誰…!?」
響いた声は愛らしい少女のもの。
シャールカーンとルステムはその人物を見て息を呑んだ。
「サフィーア!?」
「王妃様!?」
夜を閉じ込めた長い黒髪、吸い込まれそうな清んだ瞳。
紛れもない、シャールカーンの愛しい妃サフィーア――かと思いきや。
「サフィーア?私の名前はマリアムですが…」



