砂漠の夜の幻想奇談



 サフィーアが案内されたのは、ひときわ高い塔の最上階だった。

狭いそこは椅子が一つしかない殺風景な空間で、牢屋というよりも軟禁部屋だ。


(牢屋よりはマシかしら…)


外の空気を吸いたくて、サフィーアは唯一の窓に近寄った。


その華奢な背中を、マルザワーンは顎ヒゲを撫でながらジットリと見つめる。


「お前、よく見るとマリアムに似ているな」


ビクッと肩を震わせたかと思うと、サフィーアはマルザワーンを振り返った。


(え!?この人、なんでマリアムのことを知ってるの…!?)


「だが…マリアムはもっと色気があるし、お前よりも乳がデカイ」


(なっ…!!)


これにはピキッときた。

失礼過ぎる言い種にサフィーアが顔を真っ赤にさせる。


(何よ何よ!最低な殿方ね!というより、なぜ貴方がそんなにマリアムに詳しいの!?マリアムはルームザーン王子の恋人でしょう!?)