砂漠の夜の幻想奇談


「王かっ……さすがにっ、強いな…!」

冷や汗をかき刃を押し返すカシェルダ。

苦戦を強いられているのはサフィーアにも理解できた。


(ここで無理に頼ったら、カシェルダが死んじゃうかもしれない…!)


サフィーアは考える。


(私は、人質よね…?使い道があるなら、すぐには殺されないはず……)


ならば――。


(素直について行くわ)


サフィーアは抵抗をやめた。

どうせ牢屋にでも閉じ込めておくつもりだろう。

覚悟を決めて、歩き出す。


「ほう…」

意外だったのか、マルザワーンが目を見開いた。

「物分かりがいいな。こっちだ」


廊下に消える二人を視界に捉え、カシェルダは叫ぶ。

「姫っ――!!!!!」


サフィーアはその声を背中で聞いた。