砂漠の夜の幻想奇談



 包囲軍の攻撃を受ける度に揺れが伝わってくる。

サフィーアはルームザーンの部屋で不安げに歩き回っていた。


「とうとう攻防戦の開始ですね。今日は落ちそうにありませんが」

傍にいるカシェルダが、窓から外の様子をうかがう。


(怖いわ、カシェルダ…。どうなっちゃうの?)


心の安定剤でもある護衛官の服をキュッと掴む。

すると、カシェルダは視線をサフィーアに向けた。

「姫、大丈夫ですよ。弾丸はここまでは飛んできません。それに、もうじき攻撃も止むでしょう。日暮れが近い」

夜になれば一時休戦となるだろう。

兵士達にだって休息は必要だ。


(ルームザーン王子、あれから戻って来ないけど……大丈夫かしら…)


気掛かりなことは色々あるのに何もできない我が身が口惜しい。

サフィーアが溜息をついた時だった。