砂漠の夜の幻想奇談


「ありがとう、トルカシュ。助かったよ」

「いえいえ!王子を護るのが俺の役目ですからっ」

カンマカーンは立ち上がると城壁の上を睨んだ。

「指揮官が替わったのかな。弓兵の統率が良くなってるね」

「イタいとこに集中攻撃してきますもんね」


カンマカーンの思った通り、丁度この時ファルーズからルームザーンへ指揮が替わったところだった。


城壁から敵軍を見下ろし、ルームザーンは声を上げる。

「狙うのは作業中の兵士だ!!櫓を完成させるな!!登ってくるぞ!!」

櫓は木を組み立てて作る物見台のことで、これを城壁に近づけてハシゴにするのだ。

「作業中の兵以外では指揮官を狙え!」

本当なら戦などしたくないが、城内にいる民を護るため。

ルームザーンは自身も弓を構えた。