「そうだろうな…。強固な城壁はなかなか崩れない。これは利点だ。だがな、どれ程長く城壁が持っても、食糧が不足すれば城内の人間は死ぬ」
「っ!?」
「このまま包囲戦が長引けば長引くほど、食糧は減り、中の人間は餓死の危機にさらされる。そうなったら、まず最初に犠牲になるのは一般市民だ。王族や貴族は自分達を優先して食糧の配給を考えるからな」
捕虜の顔色が青くなった。
さらにシャールカーンは続ける。
「お前が協力してくれたら、市民達は殺さないと誓おう。餓死者が出る前に開城させたいんだ。わかってくれるか?」
諭すような穏やかな声が心に訴えかけてくる。
捕虜の決心は鈍った。
迷いに迷ってから彼が出した答えは――。
「…………お教えします。ですから、絶対、妻や子供を殺さないで下さい…!」
「アッラーにかけて誓おう。罪なき民は殺さない」



