砂漠の夜の幻想奇談


「貴様っ、前にも言ったよな。カイサリアの王子と言えども、王妃に手を出したら容赦なく斬り捨てると…!」

「ああ…あの時の護衛官か」

ルームザーンは納得するとサフィーアから離れた。

首に刀を当てられているのに恐怖は全くないようだ。

「君が着ている服はカイサリア兵のものだな。上手く侵入してきたね」

「姫を護るのが俺の最優先任務だからな」

刀を下ろすことなくカシェルダは続けた。

「お前はサフィーア姫をどうしたいんだ?単なる人質か?」

言葉に怒りをこめて直接問えば、ルームザーンの瞳が熱を孕む。


「私は、彼女が欲しい」


カシェルダが目を見張った。


「ずっと傍にいて欲しい。大切にして、愛したい」


サフィーアへの恋情。

知りたくなかった事実にカシェルダはキレた。

「……っ…き、貴様!!やはり殺す!!」

怒りと嫉妬に任せて刀を振ろうとした時――。