砂漠の夜の幻想奇談


しかし、ルームザーンは剣をおさめサフィーアを抱きしめると、すぐに馬を走らせた。


(きゃ!?王子!嘘ヤダ!シャールのところに帰して…!シャール!!)


サフィーアがシャールカーンに向かって手を伸ばす。

「サフィーア!!」

カイサリア軍が退却していった方向に駆けていくルームザーンの馬を追いかけようとするも…。


「お待ち下さい!!」

「どけ!!バハラマーン将軍!!」

トルカシュの父、バハラマーン将軍が行く手を阻む。

「どきません。王よ、貴方様が追いかけてはなりません」

「なぜだ!!サフィーアは俺の正妃!!唯一の妃だ!!俺が護ってやらなきゃならない存在なんだ!!」

「王よ、貴方様は今、我らの総司令官です。軍の最高指揮官が理性なく感情で動かれてはなりません」