きつく目を閉じて決断した王は、悔しげに唇を噛んでから自軍に告げた。
「…包囲を解く。全軍、退け」
この命令を耳にして、ムスタファ将軍が慌てる。
「し、しかし…!」
「聞こえなかったか!?全軍後退せよ!!カイサリア軍の包囲を解く!!」
力強く言い直したシャールカーン。
ここでやっと兵達は動いた。
追い詰めていた獲物からゆっくりと離れていく。
「カイサリア軍、退却せよ!!急げ!!」
ルームザーンが遠くから軍に指示を出す。
彼の兄ファルーズは弟の助けに感謝して兵達と共に退却していった。
残ったのはシャールカーンの軍と、サフィーアを人質にとったルームザーンのみ。
「ルームザーン、要求通りカイサリア軍を解放した。今度は貴様がサフィーアを解放しろ!」
シャールカーンが吠える。



