砂漠の夜の幻想奇談



 シャールカーンは勝てると確信した。

「敵将の軍を囲めぇ!!」

追い詰めた。

徐々に包囲を狭めていく。

若い王の顔に少し余裕が表れた、その時――。



「待てぇええっ!!!!!!!!!!」


突如、戦場に響いた叫び声。


誰もが一瞬、動きを止めた。


「なんだ!?」

慌ててシャールカーンが周りを見渡せば、丘の方からこちらに向かって駆けてくる馬が視界に入った。

「なっ!?」

シャールカーンの目に、馬上のルームザーンとサフィーアが映る。

「サフィーア!?ルームザーンも!!どういうことだ!?」

「姫!?」

カシェルダも素早く反応した。

いち早くサフィーアの乗る馬に駆け寄ろうとするも…。


「来るなっ!!!!」


ルームザーンがシャールカーンの軍に剣を向ける。

それから彼は剣をサフィーアに突き付けた。


「シャールカーン王に命じる!サフィーア王妃を殺されたくなければ、カイサリア軍を解放せよ!!」