シャールカーンがそう全軍に指示を出していた時、馬上のルームザーンとサフィーアは少し離れた丘から戦闘を眺めていた。
(シャール!どこ!?)
距離がある上、兵が多過ぎて誰がシャールカーンなのかわからない。
ハラハラしながら見守るサフィーアの後ろでルームザーンは青くなった。
「マズイな…」
(王子…?)
「このままでは兄上が負ける」
彼は独り言のように続けた。
「カイサリア軍の右翼は潰された。左翼も、あの分ではいつまで持つかわかったもんじゃない。囲まれたら終わりだ…!」
ここで退かなければカイサリア軍は取り返しのつかない事態になる。
しかし、それを察することすら戦闘のただ中にいる兄はできていないようだ。
「クソッ!!全滅などさせるか!」
彼らを助けるには、自分はどう動くべきか。



