「兄上は死なせないっ」 自分が戻って、軍が全滅しないよう手助けする。 ルームザーンはそう決めた。 再び歩き出し、ファリザードを残して部屋を出る。 が――。 (マリアム……いや…サフィーア王妃…) ふと、魔が差した。 カイサリアに戻ったら、もう彼女には会えないだろう。 愛しい人によく似た少女。 (最後に、もう一度だけ…会いたい) 簡単に旅仕度を済ませた後、彼はサフィーアのいる後宮に忍び込んだ。