砂漠の夜の幻想奇談


「私は今からカイサリアへ向かうよ。ファリドが亡くなったら次は君の父、ファルーズが前線送りにされるだろうからね」

「父上が!?」

兄だけでなく父まで死んでしまうのでは。

ファリザードが身体を震わせる。

「大丈夫。私が何とかするよ。我が父ハルドビオス王には従いたくないが、ファルーズ兄上が死ぬなんてゴメンだからね」

ルームザーンには兄が二人いる。

マルザワーンとファルーズ。

長男のマルザワーンはハルドビオス王と似て自分中心主義的人物なため、ルームザーンは彼を嫌っていた。

一方、ファリザードの父であるファルーズは穏和な人柄で、昔からルームザーンと仲が良い。


ルームザーンと同じく戦争反対派のファルーズだが、彼はルームザーンのように真っ正面から父に逆らえるほど気が強くなかった。

そんなに戦上手という訳でもないので、このまま前線に出たら犬死にとなるだろう。