砂漠の夜の幻想奇談


一瞬、自分の耳を疑ったファリザード。


「え…?…兄上、が?」


頷いたルームザーンはさらに酷なことを告げた。

「おそらく討ったのはシャールカーン王だよ」

「王様、が…?」

呆然となるファリザード。


「憎いかい?シャールカーン王が。その妻であるサフィーア妃も、臣下のバルマ――」

「憎くありませんわ!!」

力強くファリザードは言い放つ。


「憎くなんか、ありません…けど……けどっ…」


ぽろぽろと、目から涙が溢れ出す。

悲しいのはどうしようもなかった。


周りを気にせず泣き出す姪っ子の頭を優しく撫で、ルームザーンは言った。

「憎くないならバルマキーの胸で泣くといい。彼なら慰めてくれる」

そして、歩き出す。


「叔、父上…どちらに…?」

笑みを消して部屋から出て行こうとする叔父に違和感を覚え、ファリザードは涙を手で拭いながら問い掛けた。