砂漠の夜の幻想奇談



 妊娠した。

この事実を聞かされたサフィーアはしばらくの間、呆然としていた。


(懐妊…。私が…?)


そっと、自分のお腹に手を当てる。


(シャールとの赤ちゃんが…ここに…?)


まだ全く目立たないが、確かにいると告げられた。

突然のビックニュースを頭でゆっくり理解してから、やっと顔がほころびる。


(シャールと私の赤ちゃん…!嬉しい!ああ…!シャール!今すぐシャールに伝えたいわ!)


しかし彼は現在、遠いアナトリアの地にいる。

この喜びを今ここで分かち合えないのが、何とももどかしい。


「サフィーア様!おめでとうございます!」


(ドニヤ!)


医女から知らせを聞いたドニヤが笑顔で部屋に駆け込んできた。

「とてもおめでたいです!さ、お座りになって、安静になさっていて下さいね。あっ!王様に早馬を使わせましょう。早くご報告申し上げ――」

「お待ちなさい、ドニヤ」


不意に鋭い声が響いた。