砂漠の夜の幻想奇談


「叔父上!王妃様を口説こうなんて、フケツですわ」

「おや、そんな言葉をどこで覚えてきたんだい?」

姪っ子にいつものニコニコ笑顔を送る。

するとファリザードはサフィーアの腕にキュッとしがみついた。

「叔父上はカイサリアいちの女タラシだとお祖父様がおっしゃっていましたわ。女性の敵ですの。王妃様、こっちこっち」

「女性の敵」から離れさせ、自分の傍にサフィーアを座らせる。

「この焼き菓子とってもおいしいですわ。オススメです。王妃様もいかがです?」

無邪気にお菓子を勧めてくるファリザードに対し、サフィーアは丁寧に遠慮した。


(ごめんなさい。なんだか食欲がなくて…)


「食欲がない?」

書いた文字をルームザーンが代読すれば、傍に控えていたドニヤがいち早く反応する。

「ご気分が優れませんか?」


(いいえ!気分は普通なんだけど…。変よね。好きなお菓子まで…今は見てると胃がムカムカしてくるの)


少し気になっていたことだったので詳しく紙に記すと、ちょっと考えてからドニヤが提案した。

「……後で医女を呼びましょう。心配ですから、お身体の診察を受けて下さいませ」




そして、お茶会が終わった後に早速診察を受けたサフィーアは、診察後に医女から「おめでとうございます」と言われてポカンと口を開けた。


「王妃様、ご懐妊でございます」