(殺したって…物騒ね)
苦笑しつつ書けば、ルームザーンから笑みが消えた。
「……殺されたんだよ、マリアムは。私の父上にね」
無表情で、彼は静かに語る。
「彼女はカイサリアの町娘で、身分もない庶民だった。だから私との仲を父上に反対されて……処刑されたんだ」
その時を思い出したのか、一瞬、彼は悲痛な横顔を見せた。
が、サフィーアに向き直ると、懐かしむように目を細めた。
「綺麗な黒髪に、清んだ瞳を持つ愛らしい少女だった。貴女と本当によく似ているよ。サフィーア王妃」
立ち姿、雰囲気、笑顔。
ルームザーンにとって、サフィーアのどれもがマリアムと重なる。
愛しい者を見る眼差しで見つめられ、サフィーアが照れて赤くなっていると、バルマキーと会話していたファリザードがこちらを向いた。



