顎に手を当てて考える。
主立った軍の隊長達が整列する前を、行ったり来たりと歩きながら唸るシャールカーン王。
「前衛はいつも通りバハラマーン将軍に任せる」
「御意っ」
百戦錬磨の武将バハラマーンが膝をついて礼の姿勢を取った。
「後衛は……前はルステムに任せていたが…今はダマスにいるしな…」
マムルークのルステムはノーズハトゥの護衛官だ。
もちろん彼は、大切な女主人と共にダマスへ行ってしまって、ここにはいない。
代わりの人間を考えようとしていた時、バハラマーン将軍が申し出た。
「僭越ながら、こんなこともあろうかと私めがトルカシュをダマスへ使いにやりました。直にルステムは到着するでしょう」
「本当か!感謝する将軍!なら後衛はルステムで決まりだな」



