砂漠の夜の幻想奇談



(どうなってるの!?まさか、キスで…人が死んだ、の…!?)


信じられない光景に、サフィーアは失神しそうだった。

しかし、アズィーザの声により意識は繋がれる。


「毒娘をご存知ですか?体液が毒でできている娘のことでございます」


(毒、娘…?知らないわ…)


「赤子の頃から少量の毒を与え、毒に慣れさせ耐性をつけさせると、いつしかその子は毒に強い身体となります。そして、自らの体液が他人を殺める毒となる」


アズィーザはサフィーアの眼前に迫り、ひどく優しく頬を撫でた。

恐怖に動けないサフィーア。

ふわり、とまたアズィーザの香りが舞う。


「私はその毒娘です」


彼女から漂う香りは、甘き毒。

「刺客となるよう育てられました。口づけで人を殺せますし、この体臭は有毒です」