砂漠の夜の幻想奇談



(な、何しに来たのかしら。もうっ)


ちょっぴり口を尖らせてみる。

まだ顔の熱は引かない。

頬に手をやり冷まそうとしていると、音もなく侍女のアズィーザが部屋に入って来た。


「王妃様」


静かに呼びかけながら、アズィーザはサフィーアのいる窓辺に近づく。


「やっと、二人きりになれましたね」


彼女の瞳が一瞬、狂気的に光った。


(アズィーザ…?)


何やら危険を感じる。

サフィーアの直感が頭の中で警報を鳴らした。


「貴女様の周りからお付きの人間を排除するのに、少々時間がかかってしまいました。あの護衛官は中々しぶとかったですよ」


(どういう、こと…?)


あの護衛官とはカシェルダのことだろうか。

一歩一歩近づいてくるアズィーザを警戒して、じりじりと後退る。