砂漠の夜の幻想奇談


そんなサフィーアの行動を丸無視して、ダハナシュはしげしげと彼女の頭から足の先までを観察し始めた。

時たま「うーむ」と唸りながら。


(な、何かしら…?)


やがて、ニヤリと笑ったダハナシュはサフィーアの耳に囁いた。


「男に愛されて、色気が出たな」


ボッとサフィーアの顔が火照る。

意地悪なダハナシュはお気に入りの姫の反応を楽しみながら、彼女の潤った桃色の唇に深く口づけた。


(ヤッ…!イヤ!)


何とも心地好いダハナシュのキスだが、情熱的なシャールカーンのキスでなければ受け入れたくない。

サフィーアはバシッとダハナシュを叩こうとして失敗した。


「おっと、危ない」

ひっぱたく前に問題の魔神がひらりと空中に飛んだのだ。


「良かったぞ」

艶めかしく自分の唇をペロリと舐めてから、ダハナシュは窓からフワフワ出て行った。