砂漠の夜の幻想奇談


とその時、サフィーアの横に控えていたカシェルダが身じろいだ――と思ったら糸が切れたように彼の身体が床へ崩れた。


(カシェルダ!?)


一番に気づいたサフィーアが反射的に傍へ寄る。

「カシェルダ?やはり体調が良くないのか…!」

シャールカーンもルームザーンとの会話を中断させて、倒れた護衛官に駆け寄った。

「うっ…」

意識はあるようだが、相当気分が悪いらしい。

きつく目をつぶって何かに堪えるような表情をしている。


「誰かー!!医官を呼べ!!」


王が叫べば召使達がバタバタと走り出す。


「一体どうなっているんだ…?倒れる者が決まって後宮にいる人間だなんて…」


シャールカーンの呟きはサフィーアの胸に一抹の不安を抱かせた。